ジャーゴンに注意!
- Jessica Sakuma

- 2月25日
- 読了時間: 4分
英語翻訳コピーライターのジェシカです。
「Jargon(ジャーゴン)」という言葉を聞いたことはありますか?
響きからすると、アニメに出てくる悪役の怪獣の名前みたいですね(笑)

実は、ジャーゴンとは「特定の組織や職種で利用されている専門用語」のことです。
最近は、「業界専門用語をやたらと使う人」を揶揄する言葉としても使われています。
このことから、特定の業界の人が普通に使っている用語でも、それ以外の人が聞いた場合にはどのような反応をしているかが何となく理解できますよね。実は、このことが翻訳にも深く関わっています。
ここでは、英語コピークリエイター・翻訳者の経験から、書き手と読み手、情報の発信者と閲覧者の2つの視点を踏まえて、ジャーゴンの理想的な情報発信の方法を検討していきたいと思います。
ジャーゴンはコミュニケーションの障害となるの?
英語に翻訳する前の日本語原稿を見た時に、まず考えることは「誰が読むのか?」ということです。その理由は、ターゲットが「同じ知識を持っている人?」か「一般人の読者?」かで翻訳の仕方が変わるからです。
学術論文、社内資料などの場合には、共通の知識を持っている人がターゲットなので、ジャーゴンをそのまま英語にしても問題がないケースが多いかと思います。
その一方、プロモーション資料、CSRレポート、プレスリリースなどの場合、目的がより多くの方に情報を伝えるためのものなので、ジャーゴンが分からないと思った方が良いでしょう。その場合には、ジャーゴンの意味が伝わるよう工夫が必要です。
当然ですが、様々な立場の人や異なる知識を持っている人が読むものは「できるだけ多くの人に、いかに情報を分かりやすく伝えることができるのか」が重要なポイントです。
これを意識しないと、本来の目標であるコミュニケーションの障害となり、理解しがたいものになってしまいます。
多言語コミュニケーションで注意すべきジャーゴンは?
略語と頭字語
特に略語や頭字語は理解しにくい傾向にあると感じています。業界や社内では一般的で定義は不要かもしれませんが、プレスリリースのような広報資料では「曖昧・分かりにくい」印象を与えてしまう場合があります。読み手は「SaaS」「CPI」「KPO」「POC」と聞いてもすぐに理解できないこともありますよね。業界や企業によって定義が異なることもありますので、より難解です。
→ 解決策:定義や補足説明を付ける。より一般的な言葉に書き直す。
外来語
「英語をそのままカタカナにして使う」のは日本語の1つの特徴です。
バズワード(流行語)をビジネスで多用することへの、賛否の議論もよく見聞きします。
英語でも「シナジー」「コミット」「アジャイル」などは曖昧な意味しかもっていないことが多い。日本語でも、和製英語(「チャレンジ」「コストパフォーマンス」など)を多用した文章は分かりにくいだけでなく読みにくいですよね。
→ 解決策:より明確な日本語にすることで、「誰が読んでも理解できる」原稿を心がける
海外の人にとって意図しない意味になってしまう
異なる国の人が、必ず同じ意味として受け取るとは限りません。
例えば、3/11以降によく耳にする「防災」ですが、「disaster prevention」という英語をよく目にします。
ただし、英語では「prevent」は「すでに起こっていること・起こる可能性が高いこと」について使われる単語ですので違和感を覚えます。損害やリスクなどには「mitigate」(和らげる・軽くする)や「planning」(計画を立てる)が一般的です。
→ 解決策:理解しやすいように「日本語ジャーゴンを別の用語にできないか」を考えてみる

結局、ジャーゴンはどうしたらいいの?
どの言語でも大前提は「より多くの人が理解できるようなシンプルで分かりやすい文章」を心がけることです。
専門性が高くなればなるほど、ついつい専門用語を多用してしまう傾向にあります。自分の知り尽くしている専門分野ですから、それは当然ですよね。ただ、読み手や閲覧者には理解できない専門用語があることを、ちょっとだけ距離をおいて考える必要があります。
さらに、翻訳・多言語コピーでは、読み手がまったく違うバックグラウンドを持っていることが多いため、なおさら注意が必要です。
しかも英語の場合には、ネイティブではない人も読むことが多いため、「シンプルに分かりやすい」文章になるよう特に注意が必要です。
翻訳者やコピーライターは、その国・民族・人種など様々なことを考慮しながら、「誰が読むの?(ターゲット)」「他の国の一般人は理解できるの?(内容や書き方)」をいつも考えながら外国語にしています。そうすることで、ネイティブが読んでも自然で分かりやすい外国語にすることができるのです。
どうしても正確で正しい外国語にすることにクローズアップされがちですが、ネイティブが違和感を覚えることのない内容や書き方にすることも実は非常に重要なことなのです。


