どうやって英語にする?:うまみ編
- Jessica Sakuma
- 19 時間前
- 読了時間: 3分
私の住んでいる田舎のダイニングバーに、友達と行ったときの話です。
牛脂で揚げたポテトフライが人気で、メニューを見ていた友達が「このポテトはumamiが強くて美味しいよね」と何気なく言ったのです。
とても興味深いのは、その友達はごく普通のアメリカ人で、日本語が喋れるわけでもなく、日本に行ったこともないのです。そんな友達の口から「umami」という言葉が出てきたことに驚くとともに、この言葉がすっかり英語でも定着しているいるんだなと感慨深いものがありました。
さて、今回は外来語である「日本語がどのような場合に英語でそのまま使われるのか」という問いに対して、この記事のテーマである「umami」について、自分なりの仮説を立ててみたいと思います。

① 食べ物の名前はそのまま外来語として使う傾向にある
言語学者であるDan Jurafskyは、Milk Street Radioというポッドキャストで、「外国の食べ物がアメリカに入ってくる際に、単語をそのまま使うのが一般的です」と語っています。
食べ物や食品の世界はかなり国際的なこともあり、「antipasto」(イタリア語:前菜)、「mirepoix」(フランス語:玉ねぎ、にんじん、セロリを油で炒めたもの)など、厨房やクックブックでも「英語」としてそのまま使われているケースが多いのです。
とても面白い例の1つが、「パクチー」です。
フレッシュハーブとしての名前はスペイン語の「cilantro」が一般的ですが、ドライスパイスは古代ギリシャ語が由来の「coriander」が使われています。
生のパクチーはメキシコ料理、ドライスパイスはインド料理や中東料理などで使われるため、その名前もそれぞれの国の言語に由来しているのではないかと考えられます。
② 英語では表現しきれない概念
国により文化や風習、生活習慣などが異なりますので、言語の概念や特性も同じではありません。「umami」ももともとは日本独特の概念で、英語にはその考え方にピッタリ合うものはありませんでした。
日本の科学者である池田菊苗さんは「うま味」調味料を発見した人として知られています。
今では「うま味」は、「umami」としてその名前も概念も世界中に知られていて、「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」の次の味としても一般化されつつあります。
アメリカでは、レストランの看板やメニューに一般的に目にするし、私の友達のようにさほど日本料理に興味がない人でも使います。「Japanese Restaurant UMAMI」のようにレストランの名前に使われることもあるくらいです。
このように、日本語の単語に対して、「完璧に説明する英語がない」、「英語にすると分かりにくい」などの理由から英語でもそのまま日本語を使っているケースが少なくはありません。
③ 日本のソフトパワー
「クールジャパン」に代表される日本の伝統文化・食文化・技術が海外で非常に人気で、
「日本」と書くだけでブランディングができるような時代です。
「umami」と書くだけで「美味しい」を連想させられますし、「kawaii」と書けば「キュートでオシャレ」な印象を与えることができます。非常に面白い例では、Toyota式の「Kaizen(カイゼン)」ですよね。この言葉を聞くだけで、自然と「高品質や安全」なイメージが湧いてきます。
こうした3つの要因が影響を与えて、英語でも幅広く知られている単語は増えてきています。おそらく、今後もますます増えていくことでしょう。
翻訳の基本は「分かりやすく伝えること」ですから、こうした単語は分かりやすい英語に置き換えたりすることも多いのですが、コピーライティングの場合には、こうした日本語をそのまま使いながら、その言葉を徐々に浸透させブランディングしていくのも一つの手法です。
コピーライティングや翻訳では、深く浸透しているものはそのまま利用することもありますし、場合によっては説明で補足したり、他の言葉に置き換えることもあります。
読み手や目的lにあわせて、こうした日本語をどのような表現していくかが腕の見せどころの一つで面白いところですね。