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英訳が難しい日本語(1):こだわり


翻訳者・コピーライターのジェシカです。


「翻訳」は「ある言語を異なる言語に置き換えること」です。ほとんどの場合、置き換えだけでは完璧な文章にすることはできません。。

翻訳者はより分かりやすい文章にするため、様々な情報を収集しながら、最適な単語選びや表現を考えながら翻訳を進めています。


一見、シンプルで単純な日本語でさえも、翻訳するには多大な時間と労力を要することが多いものです。


今回、例として紹介したいのは「こだわり」という日本語です。


日本語では、ポジティブに良い意味で利用することが多いかと思います。

辞書を引いてみると「pickiness」、「fixation」などが英語の意味としてでてきます。ただし、これらの英語には「異常な執着」「好き嫌いが激しい」のようなニュアンスが含まれ、日本語本来の意味を正しく伝えることができません。


根本的な部分から意味を解釈して、日本語の利用用途にあった「生きた英語」にするのが翻訳者の腕の見せ所です。


具体的な「こだわり」の意味をいくつか考えてみましょう。


① 飲食業界においての「こだわり」

「こだわりの食材」は、朝取り野菜のように「新鮮な食材の意味」なのか、その地域の特産の素材を使うような「ローカル食材の意味」なのか、オーガニックで無添加といった「健康志向の意味」なのか、文脈により異なります。


② 化粧品業界においての「こだわり」

「こだわりの化粧品」は、自然素材を配合した「自然派の意味」なのか、研究を重ねた結果の「安心・安全の意味」なのか、アレルギー性が低い「肌に優しいの意味」なのか、アピールポイントにより、意味が異なります。


③ 製造業界においての「こだわり」

「ものづくりへのこだわり」は、熟練の職人により作られている「唯一無二の意味」なのか、機能美を追求した「デザイン性が高いとの意味」なのか、独自のプロセスにより作り上げられる「他社にはない価値の意味」なのか、企業のビジョンにより、意味が異なります。



こうしたケースでは、お客様が伝えたいコンセプトやターゲットなどをヒアリングや調査し、最適な外国語にする必要があります。いくら綺麗な英語文章にしても、お客様の意向や考えと合致していなければ、良い翻訳とは言えません。


どうしても、綺麗な日本語を書くことに注力してしまいますが、翻訳用の日本語原稿を作成する際には「読み手に伝えたいこと」をより明確にすることが大切です。

それをすることで、翻訳者がポイントを理解し、読み手により伝わる翻訳文章にすることができるようになります。


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